ふつうだとつまらないので・・・

都島生活クラブ

「今度のクッキングやねんけど、みんなが好きなものを餃子の中に入れてオリジナル餃子とかどお?チョコとバナナを入れてチョコバナナ餃子とかさ」

 

 

宿題もせずに遊んでいたと思ったら唐突に相談してきたTくん。 「おもろいやん、みんなに提案してみたら?その前に宿題したら?」と声かけると、しばらくして提案書を作ってきました。

あんなことしたい、こんなことをしたいと口で言うだけでなく(宿題そっちのけで)思いを形にして提案してくれたT君。せっかくなので、この企画はぜひ本人の力で成功してもらいたい思い、せっかくなら都島生活クラブだけでやらずに全施設でやって、みんなにも

 

○自分たちで考えて提案したことが実現するんだ!!

○自分たちで考えて実現したからこそ楽しい!!

 

と感じてもらい【自分たちの手で生活や活動を作っていける】ことを知ってもらえるきっかけとなればと考えました。予定していた大人が考えた“ふつうのみたらし団子”を変更して、自分たちで考えた“オリジナルぎょうざ”をクッキングでできるように動き出しました。

アンケート用紙は貼りだすのかと思いきや、配布するということでコピーを頼まれたので用意すると、2年生のN君が手伝いを買って出てくれました。普段からお手伝い大好き!細かい作業が好き!というわけでないのですが、はりきっているT君に感化されたのでしょうか。ドヤ顔もなく黙々と配布しやすいように折っています。

 

大人からの関わりではなく、子ども同士が刺激を与えあって友達から色んなことを感じて、成長する姿やその子の新しい一面が見られるのって素晴らしいし、これこそ学童の良さやなあ、としみじみ思います。

集めたアンケートも、もちろんT君が(もちろん宿題はそっちのけで)集計して買い物リストを作り、保育者に買い出しを託します。(今回は急だったのでできなかったけれど、買い出しまで一緒にしたかった!)

当日はふざけたり食材を遊んだりしないか心配でしたが、みんな真剣に取り組んでいました。

 

写真を見ると餃子の皮に餅を置いて焼いているだけのようにも見えますが、れっきとした餃子だそうです。あえて包まないのが新しいそうです。

 

餃子の皮にミカンとあんこを包むなんて、見方によれば食べ物で遊んでいるようにも見えるかもしれないし、いくら“つまらない”としても普通の餃子が一番おいしいに決まっているけれど、自分たちの企画で、自分たちが選んだ材料で、自分たちのオリジナルが作れるなんて、ワクワクするに決まっています!【ふざけて楽しい】ではなく、【充実して楽しい】という顔です。

 

失敗して「おいしくない」と言いながらも残さず満足そうに食べている子どもたちを見て、食文化や知識も大切かもしれないけれど「料理って面白い」「食事って楽しい」が、食育では一番大切だなと感じました。「解るって楽しい」「できるって楽しい」という体験が興味関心のスタートで、コミュニケーションも勉強もスポーツも、なんでもそうだなと改めて考えさせられました。

子どもたちは、「ふつうのぎょうざじゃつまらない」と文句を言うのではなく、つまらない“から”と新しいアイディアを出して自分たちでおもしろいものを生み出す力を持っています。実行し、実現する行動力も持っています。

 

保育者が全部お膳立てして行う行事もあります。けれど、見た目は悪くても自分たちで企画してアイディアを出し合い、人を集めて準備して、自分たちで作り上げるものの方が何十倍も楽しいし、かけがえのない経験となると思うのです。

 

今回のクッキングで保育者がやったことと言えば、お願いされた(コピーや買い出しなど)下請け業者のようなことくらいで、保育者の手助けがなくとも自分たちの力で、子どもが本当の主役となって作り上げていきました。いつものクッキングよりもハラハラしたしワクワクしたし、いつも以上にイキイキしていました。

 

あと一ヶ月で夏休み。どんどん自分たちのしたいことを、自分たちの手で実践していってもらえるように準備しています!!おたのしみに!!