宿題やったでー!!~子どもの最善の利益のために~

都島児童館

はじめに

【写真(H28年度末の進級遠足)は今回のブログ内容に全く関係ありません。本文がつまらなければ写真だけでもダイジャストでどうぞ】

(和歌山県は阪南市にあるわんぱく公園へ。駅員のいない改札。「え?きっぷどーするん?」「箱に入れんねん」「え、持ってきてしもた」)
(和歌山県は阪南市にあるわんぱく公園へ。駅員のいない改札。「え?きっぷどーするん?」「箱に入れんねん」「え、持ってきてしもた」)

 

 

「宿題終わったでー!」

——――珍しく早くに宿題を終わらせた達成感を伝えたくて言っているのではない。

「今日宿題ないねん!」

―――宿題がない喜びを伝いたいのではない。 小言を言われる前に、「終わっているのだから(宿題ないのだから)何も言ってくるなよ」と釘を刺しているのである。日頃から、口を開けば「宿題したん?」顔を合わせれば「宿題終わったん?」と、宿題のことばかり口うるさく言われることによほど辟易しているのだな、と同情する。口うるさく言っているのは、なにを隠そう私です。

(1~4年生が実行委員会(勝手に発足)。紆余曲折ありながらも、4ヶ月かけて行き先からすべて企画。もうお手の物。)
(1~4年生が実行委員会(勝手に発足)。紆余曲折ありながらも、4ヶ月かけて行き先からすべて企画。もうお手の物。)

 

 

平成29年度がスタートしてあっという間に一ヶ月が経ちました。あっという間の一ヶ月には「あっ」という中に収まりきらない出来事がたくさんあります。たった一ヶ月でもやはり子どもたちの成長する姿には目を奪われるものがあります。児童館の生活にすっかり慣れ、よそ行きの顔から徐々に自我を表出するように。気の合う仲間ができ始めると楽しいことに夢中になってやるべきことを疎かにしたり、少しハメを外してしまったり小さないさかいが見られたりと、いよいよ学童らしくなってきました。

(職員の「危ないから押すなよー!」のセリフを皮切りに、Aくん「え・・・?ああ!おすなよー!」Bくん「おすなよー、おすなよー!」Cくん「ぜったいおすなよー!」職員「いや、あかんてそのノリ。ホンマに押すなよ!」Aくん「おすなよー!」Bくん「ぜったいおすなよ!」Cくん「おすなよーおすなよー」)
(職員の「危ないから押すなよー!」のセリフを皮切りに、Aくん「え・・・?ああ!おすなよー!」Bくん「おすなよー、おすなよー!」Cくん「ぜったいおすなよー!」職員「いや、あかんてそのノリ。ホンマに押すなよ!」Aくん「おすなよー!」Bくん「ぜったいおすなよ!」Cくん「おすなよーおすなよー」)

 

 

職員の異動があり昨年とは違った雰囲気のクラブもあると思いますが、それぞれの色はありながらも都島児童館全体で同じ方向をむいてやっていきたいと思っています。

学童保育の先生のことを【放課後児童支援員】というのですが、一般的に「学童」って、気のいいお兄ちゃんお姉ちゃんたちが、放課後の子どもたちの生活の世話をしてくれて一緒に遊んでくれている、というイメージがあるようです。それはそれで間違ってはいないのですが、“一応”私たち職員(放課後児童支援員)は、保育士や小学校教諭、児童厚生員といった子どもにまつわる資格をそれぞれ持ち、それぞれの専門性を活かして「放課後の生活とあそびを通して、子どもの健全な育成を図る」という目的のために子どもたちの支援に当たっています。―――という話をすると「え!そうなんですか!?」とよく驚かれますし、子どもからは、「へえー、そんな考えて保育してるようには見えへんな」と言われてしまいます。しまいには「先生って仕事なにしてるん?」とパンチの利いた質問を受けるくらい、うまく爪を隠しております。

(頂上で記念撮影)
(頂上で記念撮影)

 

 

ただ、そんな曖昧模糊とした「学童」のイメージは、世間一般にというよりは、従事している職員も実は持っていました。「放課後の生活とあそびを通して、子どもの健全な育成」というなんとも漠然とした指標だけを頼りに、それぞれの専門知識と価値観だけで子どもたちを見ていていいのか。「子どものために!」という熱い思いだけで突っ走ってもいいのか・・・。(それはそれでイイではないか!と言いたいけれど)

 

今年度は御幸生活クラブが新設されたということで、5施設6クラブ総勢180名余りの子どもたちと共に一年間を過ごしていきます。施設や人数が増え、新体制となるこの機会に改めて職員間で放課後児童クラブ(学童保育)について学び直すことにしました。福祉から法律から子どもの権利から、ごっそりと、いちから。(3月に発行された法人の広報誌「ゆんたくvol.26」にも書いているのでぜひ読んでみてください)

(頂上には遊具あり。お弁当はやっぱり登って食べるよね)
(頂上には遊具あり。お弁当はやっぱり登って食べるよね)

 

 

日々の保育を振り返りながら、職員間で改めて学び直した福祉と法律、子どもの権利。 そこで見えてきたものは、堅苦しくも難しくもなく、思っていたよりもとてもシンプルで私たちの役割を明確にするものでした。

 

【子どもの権利を守ること】

【子どもが主体の生活の場であること】

【児童館での時間は子どもにとっての生活の一部分であること】

【多様性を理解し、個を尊重し、ひとりの人間として支援すること】

【子どもにとって最善の利益となるよう支援すること】

そしてそれらは、「できたらいいね」ではなくて、

決まっていることなので「絶対に守らなければいけない」ということ。

 

 

 

おおよそ間違った保育をしていなかったことを安堵しながらも、きちんと学び直してみると、感覚でやっていたことがより論理的に意味をなし、様々な視点から児童館の生活に照らし合わせて実践していくことができるようになりました。

今までの方法が間違っていたわけではないけれど、子どもたちが幸せに過ごせるために、元気に育つために、もっともっといいものにできる。もっともっといい場所にしていこうと思っています。

 

 

ただ、その内容を一言で表現するにはなかなか難しく、お得意の長話を皆さまにグダグダと話すわけにもいかないし(ご希望であれば話します!)、だからといって気の利いたキャッチコピーが思いつく訳もなく・・・。どうやったらうまく伝わるだろうと思案している中で出たアイデアが児童館の生活をそのまま見せちゃえばどうだろう、ということでした。

 

 

より明確になった都島児童館生活クラブの役割を皆が共有し、施設やメンバーが違っても【都島児童館】として「子どもの最善の利益のために」と、同じ思いで取り組んでいます。新しく作成したパンフレットにその辺のことを書かせてもらっていますので、またお時間あるときにでも子どもたちと一緒に眺めてもらえれば幸いです。

 

 

歩けるようになった。話せるようになった。字が書けるようになった。上手に歌が歌えるようになった。そんな、目に見える成長はこの場所にはないかもしれないけれど、子どもたちの毎日と人権を守ることで、生きていくうえでの土台が作られていく。子どもたちの可能性は毎日見てきている私達でも全く想像できないところまでいくことがあって、私たちはその子どもたちの力を信じています。そして、保護者の皆様とは日々の子どもの姿にともに一喜一憂し、小さな成長をともに喜び合える存在でありたいと思っています。

(下山は名物「大型ローラー滑り台」。滑った感想を聞くと「おしり燃える!!」)
(下山は名物「大型ローラー滑り台」。滑った感想を聞くと「おしり燃える!!」)

 

 

「宿題したん?」

「あー、これ終わったらするわ」

 

――― 子どもたちは、自分は尊重されるべき存在であると知り、自尊心を育んでいく。都島児童館では、それを守るために子どもが主体の生活の場を整えている。その生活はとても複雑に構築されているけれど、あえてシンプルに言うと「安全と人権さえ守られれば、したいことができる自由な場所」なのである。この一言だけを子どもが聞くと、「じゃあ宿題せんでええやん!」と鬼の首を取ったように言ってきそうであるが、宿題などは生活の全体性を見ると児童館で終わらせたほうが良いので声をかける。無理やり引っ張ってきてやらせることはしないけれど、しつこく声はかける。逆に言うと、宿題以外は特に何も言わないのだから、自ずと口を開けば「宿題したん?」顔を合わせると「宿題終わったん?」になる。宿題のこと“ばかり”ではなく、宿題のこと“だけ”なのである。

(企画した子が実行委員会向けにも資料を作っている―――なにも教えなくてもここまでできる。「舞子になると危ない」とは。完璧でないところも才能である。)
(企画した子が実行委員会向けにも資料を作っている―――なにも教えなくてもここまでできる。「舞子になると危ない」とは。完璧でないところも才能である。)

 

 

「宿題したん?」

「あー、これ終わったらするわ」

――― 「それさっきも言うてたやん、先延ばしにせんとやっときやー」

「うん、わかってるー」

 

先延ばしにせんとやっときやー、とは自分で言っておいて耳が痛い。いまの子どもたちの姿を新鮮なうちにお伝えできるように、先延ばしにせんと頻繁にブログを更新していきます。

 

そして、これだけは言っておきたい。 「ブログ書いたでー!!」

 

都島生活クラブ 岸本(やっぱり文章が長い)